痛みのバンドを殺す

出典：史記（呂不韋列伝）

戦国時代、韓で商人をしていた 呂不韋(りょふい) は、 趙(ちょう) の都、 邯鄲(かんたん) に出かけたとき、秦の王族で、 子楚(しそ) という者が、趙に人質として預けられているのを知りました。

秦は、趙にたびたび攻め込んでいたため、趙は子楚を丁重に扱わず、そのため子楚の生活は困窮していました。

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呂不韋は、その様子を見て気の毒だと思いながら、ふと、
「奇貨おくべし！（これはすばらしい掘り出しものだ、大事にして手元に置いておかなければ。）」
とつぶやきました。

そして、子楚に会って言うには、
「私は、あなたの家を大きくしてあげることができます。」
子楚は、笑って、
「まず、あなた自身の家を大きくしてから、私の家を大きくしてくれたまえ。」
と言いました。
しかし、呂不韋は、
「あなたにはお分かりになりませんか。私の家は、あなたの家が大きくなることによって大きくなるのです。」
子楚は、呂不韋の言おうとしていることを察し、彼を家の奥に案内して話をしました。

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当時、秦の太子（安国君）の正室（華陽夫人）には子供がなく、そのため世継ぎは決まっていませんでした。 子楚は、太子の十数人の子のうちの１人でしたが、世継ぎになるには不利な立場でした。
しかし、呂不韋は、方法によっては子楚を世継ぎにすることは可能だと考え、それが成功した場合に自らが得るであろう利益を思って、 「奇貨おくべし」と言ったのです。

その後、呂不韋は、贈り物などで華陽夫人に取り入り、子楚の評価を上げるための運動をし、ついに彼を世継ぎにすることに成功しました。
しかも、妊娠していた自分の愛妾を子楚に嫁がせ、生まれた子が秦王の政（後の始皇帝）となります。