Centro Italiano Di Fukuoka-Musica
DVDに加えて、さらに、さらに、4曲の新曲が入ったCD付き。これら全ては来たる10月に発表される彼らの最新公式アルバム"Sushi e Coca"へのおいしいイントロだ。今年の秋はなにやら面白くなりそうだ。
我々は期待を胸に彼らにインタビューを試みた。
インタビュー:レオナルド・マローネ
翻訳協力:原田浩介
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レオナルド:本当のところ、「マルタ・スイ・トゥービ」ってどういう意味なの?名前を決めるにあたって、この名前にどういう想いをこめたかったの?それに、どうして君たちの最新ディスクに「寿司とコーカ」というタイトルをつけたのかな?
ジョー:ああ、バンドの名前はね、ある飲み会の時に思いついたんだ。その頃、僕達(ジョーとギタリストのカルメーロ)はまだ名前のなかった新しく立ち上げた音楽プロジェクトにどうしても名前を決めなきゃならなかった。というのも僕たちが演奏することになっていたクラブのオーナーがコンサートの宣伝ポスターを作ろうとしていたからバンドの名前が必要だったんだ。で、その夜、やっとの思いで思いついたのがマルタ・スイ・トゥービだったって訳さ。最初、僕はその名前が気に入らなくて、もっといい名前を思いついたら変更するつもりだった。でも、その時のコンサートでたくさんの人たちが君と同じ質問をしたんだ。「マルタ・スイ・トゥービ*1ってどういう意味?」ってね。それでこの名前がみんなの興味をひ� �ものだってことがわかった。で、結局この名前でやってくことにした。それで、僕たちに残されたのは、名前に何らかの意味を与えて、そのうまい説明を見つけることだけだった。で、そのアイデアってのは良く知られているように、こうなんだ。「マルタっていう女の子がいた。僕たちは二人とも彼女のことが好きだった。だけど、お互いにそうとは知らずに張り合っていた。ある時三角関係に気付いて、僕たちは殴りあいながらそれぞれの言い分を主張しあった。パイプがゴロゴロしている工事現場でね。」 全くばかげた話だけど、それと同じぐらい僕たちのファースト・アルバムのことで出会ったインタビュアーたちの間でこの話は有名になったんだ。
僕たちの最新ディスクのタイトル「寿司とコーカ」はアルバム中の曲の名前から取った。僕が今住んでいる街、ミラノのことを歌っていて、寿司を食べたりコーカをやったりといったそこでのライフスタイルを描いている。イタリアでは寿司はエキゾチックな料理で高価なエリートの食べ物と考えられているんだ。
*1 英訳するとMarta on the tubes. tubiはtubo=チューブ、パイプの複数形。
カルメーロ:マルタ・スイ・トゥービはある別の名前の代わりなんだ。その名前は僕たちをリッチで有名にするはずだった。だけど、その名前のことは話すことはできない。リッキー・ジャンコの像の前で誓ったからね。
レオナルド:日本の新しいファンのために君たちのディスクのどれかを薦めるとしたら、どれから聴いてほしい?そしてそれはどうして?また、君たちの考えでは、君たちのCDのほかにイタリア人ミュージシャンのディスクでこれは絶対聴いとけってのは?
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ジョー:僕らのディスクでいえば、もちろん最初の作品からだね。というのもこれまでに録音したなかで一番実験的だからね。僕の考えでは、このディスクは特にイタリア語の歌詞を理解できない人たちにとっては聴きやすいと思う。言葉は僕たちの歌にとって基本的な要素だけど、このディスクでは音楽自体が重要な部分を占めていて、全ての曲が音楽だけでも楽しめるようになっている。僕がお薦めしたいほかのバンドかい?テアトロ・デッリ・オッローリ、ディスコ・ドライヴ、パオロ・ベンヴェンニュかな。
カルメーロ:僕たちのディスクなら、最初の作品からだね、いままで創った中で間違いなく最高のものだよ。ほか� ��イタリア人ミュージシャンでいえば、ウォッキ・トーキ、ベンヴェンニュ、ジージ・エ・ラ・パッロートラとか。
レオナルド:多くの日本人は、君たちがD.O.C. *2マーク付きのシチリア人なのに基本的に全員がミラノに住んで働いていることを知ったら、故郷から遠く離れたミラノで何をしているんだろうと思うだろう。日本ではシチリアは旅行先として着実に人気上昇中で文化面でも高く評価されているんだ。このことに関して君たちはどう思う?
*2 Denominazione di Origine Controllata 原産地統制呼称。ワインに与えられる原産地保証のこと。ここでは生粋のシチリア人であるということ。
ジョー:実際のところミラノに住んでいるのは僕だけで、カルメーロはボローニャに、イヴァンはベルガモに住んでいる。いずれにしても僕たち全員、生まれ故郷から遠いところに住んでいる。というのもシチリアには音楽産業は存在しないし、プロのアーティストとしてのキャリアを始めるのに都合のよい場所や仕組みがないからね。それに反してミラノは音楽産業の中心地で、そこで起きることは全てイタリア全土に広まる。それでもやっぱりシチリアは僕らの心の中にいつもあるし、可能な時はいつも、特に夏には、シチリアに里帰りするんだ。あの果てしない空間とほかの何物にもまして僕たちの人間性や音楽性に影響を与えずにはおかなかったあの光を心から享受するためにね。
カルメーロ:遅かれ早かれ僕たち3人全員、シチリアに帰ることになると思うよ。(今はただ)北部イタリアを利用しているだけさ、ハハハ。将来、僕らの生まれた土地で優雅な引退生活を送ることができるようにね。
イヴァン:日本もシチリアもどちらも島国で哲学者と矛盾の大地だよ。
レオナルド:ライブ、生の公演、ミュージシャンとファンのダイレクトな関係、これらはイタリアのミュージシャンにとって重要なことだと思う。特に君たちのイタリアのファンとの関係にとってはね。君たちが今やっている活動の延長として将来、国外で公演することやイタリア国外にツアーを拡大する計画はあるのかな?もしそうなら、どこの国?ここ日本でも君たちに会えるって夢かな?!
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ジョー:今までのところ僕たちはまだイタリア国外で演奏したことはないんだ。そういったオファーはあるにはあるけどまだ何も実現していない。たくさんの人たちが僕たちの音楽は外国でも高く評価されるだろうっていうけど、CDの販売網もなしに国外にでることは実質的な利益よりもコストのほうが高くついてしまう。僕たち全員にとって最大の夢は全世界ツアーをすることだ。だけど、僕たちはインディーズ系のグループで頼りにできるのは個人的な人間関係だけで、僕たちを国外にプロモーションしてくれる多国籍な人脈のあてがあるわけではないからね。どうなるかわからないよ。
イヴァン:日本に行くのは僕らの夢だね。日本の人たちは新しいことにとても敏感だ。いつか日本を訪問することができるといいんだけれど。
カルメーロ:日本に行くのがホントに待ち遠しいよ。このインタヴューがそのよいチャンスかもしれないね。
レオナルド:君たちが10月に発売されるって言っていたニューアルバムの「寿司とコーカ」は日本人のタケオ・ゴハラ氏と一緒に制作したんだよね。このコラボレーションとタケオ・ゴハラ氏について少し説明してくれないかな。たとえばどうして彼と一緒に仕事をすることに決めたのかとか。
ジョー:タケトとは僕たちの音楽仲間を通じて知り合った。タケトは彼らと一緒に仕事をして、彼らのためにタケトが創ったサウンドが僕らに気に入ったってわけ。それに彼は僕らのファンだというじゃないか。僕たちをほれ込ませた僕らの音楽に対する情熱を示すことによって、彼はプロデューサーとしての自分を僕らに印象付けたんだ。とても落ち着いた理性的な人で、僕らのやんちゃで羽目をはずしがちな性格とうまく調和している。彼は彼の仕事と人間性でもって、大切なバランス点を提供してくれた。それは僕らの最新作に少なからず影響を与えているよ。
イヴァン:タケトは始めっから僕らの波長にぴったりだった。彼はライブの雰囲気を強調するためにダイレクト録音によって完璧なものを求めたというよりは、僕らからスピリットとパッションを引き出そうとしたんだ。
カルメーロ:タケトとはホントにたくさんの思い出があるよ!
レオナルド:日本では広く知られたイタリア人とイタリア性に関するステレオタイプがある。つまり、よきにつけ悪しきにつけイタリアの文化や社会に対するひとつのモデルが、それこそ道を行く普通の人たちから小うるさい知識人まで、ほとんど全ての日本人の空想の世界にあるんだ。それは次の三つの言葉に要約される。マンジャーレ、カンターレ、アモーレ(食べること、歌うこと、愛)。この手の評判の流布と根強さはある部分、日本に住んでいる僕らのようなイタリア人にも少し責任がある。特に、語学教育やメディアを通じて日本の人たちに直接に接している人間にね。
イタリア人に関してのこれらの定義はどのくらい真実と思えるかい?もしこれらのモデルを知っているなら、イタリア人、イタリア人アーティストとしてどのくらいこのことについて認識している?
ジョー:これら三つは人を幸せにするものだね。でも、イタリア人だけじゃない。イタリアでは、canta che ti passa*3というけど、本当にそのとおりだ。音楽、特に歌うことは時に日々をやりきれないものにする暗い気持ちに抜け穴をあけるものだ。この点に関しては愛と食べ物は…たくさんあればあるほどいいね。ステレオタイプは常についてまわるものだけど、それはそれでいい。ステレオタイプはあだ名みたいなもので、その性格を映し出す強くてはっきりした特徴を示す者につけられる。でもそれを自分で選ぶことはできない。誰かが君の最低な部分を見なくて済むように縫製した衣服なんだ。
*3 歌えばいやなことは去っていく。日本語なら「笑う門には福来る」といったところ。
レオナルド:もし可能なら、君たちや君たちの芸術、そしてイタリアの何を日本に輸出したい?
ジョー:僕らの全て。だけど、イタリアのものについては輸出したくないものを言うよ、教皇庁に政治家と官僚。
カルメーロ:オー・マイ・ガッド*4!!!僕だってイタリア人だよ!
*4 原文では O mio Dio!
レオナルド:国外での君たちの国、イタリアのイメージや名声についてどう思う?逆にイタリアの現実や様々な問題、政治や今日のイタリアについてはどうかな?西洋人でない人たちに君たちの国について何を伝えたい?
ジョー:2つのイタリアがあるってこと。小さな税務上のごまかしに満ちて法律的に境界線上のイタリア。ベルルスコーニ*5の中に預言者と従うべき例を見ている。彼が自分のやりたい放題に法律を制定するのを放置し、自分の都合のよいように法律を勝手に捻じ曲げ、牢獄に繋がれるのを回避し、自分の経済的利益を守ろうとしているのを受け入れているイタリア。もうひとつはきちんとした政治家と透明な政治を望み、例外や差別のない全ての人にとって平等な法律を望んでいるイタリア。でも二つ目のイタリアはもはや政治的に団結する力すらない。政治的リーダーの小政党に分裂したがるという強迫的な傾向のせいでね。彼ら政治的リーダーたちは似たり寄ったりの思想を抱いて自分の安楽いすに閉じこもってしまって� �るんだ。イタリアの政治にはパラドックスに満ちているよ。連合政権の中には北部イタリアをイタリアの残りの地域から分離させたがっている分離主義者*6たちが潜り込んでいる。そしてまったく馬鹿げたことに、それら右翼の連中に最も一致団結したやり方で投票した地域がまさに南部諸州だったんだ!!!
この国の政治的運命は、マフィア、フリーメーソン、教会といった闇の権力が存在する限り、決して明るいものにならないだろうね。
*5 政治家、実業家、ミラノ生まれ。2008年5月、3回目の首相就任。建設・流通・メディアにわたる企業グループFinivestを一代で築き上げた。特にメディア部門を統括するMediasetは全国的な地上波放送を行う民放4局のうち3つを所有し、イタリアのメディアの70%をコントロールするといわれている。彼はAC Milanの前会長でもある。奔放な人柄でカリスマ性を持つが、放言・失言が物議を醸すことも少なくなく、毀誉褒貶の多い人物である。Forbes誌によればイタリア長者番付第3位。
*6 Lega Nord(北部同盟)のこと。産業が発達し経済的に豊かな北部イタリアの政党、党首はUmberto Bossi。かつては北部が生み出した富を経済的に立ち遅れた地域が多いイタリア南部諸州が吸い取っていると主張し、ポー川以北をPadania共和国として分離独立させようとした。しかし近年は独立の主張を放棄し、地方分権の強化、連邦制の導入、移民排斥を主張し、南部出身の党員も増加し2008年の総選挙では国政レベルで8.3%の議席を獲得した。
イヴァン:一般的に言ってありきたりの場所にいつまでもとどまらないほうが利口だろうね。それが危機のきっかけになるってことは歴史が僕たちに教えているよ。
レオナルド:じゃあ日本についてはどう思う?日本が君たちの興味をひくとしたら、それはどういう理由で?
イヴァン:日本が僕たちの興味をひくのには1000の理由があるよ。歴史のある儀式、巨大なメトロポリス、マンガ、ふんどし、黒澤明、列車、地震、カラオケ、特攻隊、騒音。
ありがとう、それじゃまた。チャオ。
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