三菱電機が昨年9月に発売したサイクロン式掃除機「風神 TC-ZXA20P」は、国内主要メーカーで唯一、サイクロンボックス部のフィルターを取り去り、遠心力にこだわった本格サイクロンだ。吸引力の持続ときれいな排気というサイクロン掃除機のよさに、手入れの簡単さをプラス。特にジュウタン敷きの部屋が多い家庭や、ペットのいる家庭にとっては頼もしい掃除機だ。今回、このサイクロン掃除機「TC-ZXA20P」の実力を試す機会を得たので、ご報告しよう。
●サイクロン式掃除機は本来「フィルターレス」
三菱電機は「蒸気レス」の炊飯器や、「切れちゃう冷凍」「回るん棚」「動くん棚」を備える冷蔵庫など、"オンリーワン"の機能をもつ製品を数多く出しているメーカーだ。「TC-ZXA20P」も、サイクロン式掃除機の本来の遠心力にこだわった製品になっている。
ダイソン社製掃除機の「吸引力が落ちない」のコマーシャルでサイクロン式掃除機が一般化して、すでに5-6年ほどがたつ。気がつけば、高級掃除機の主流はすっかりサイクロン式になった。サイクロン式は、紙パック式と違って毎回ゴミを捨てるので吸引力が落ちにくく、紙パック代もかからないので経済的。さらに、きれいな排気も売りだ。
紙パック式は、掃除機で吸った空気が紙パックを通ることでゴミを分離し、空気だけを排気する。一方、サイクロン式は掃除機で吸った空気を高速で旋回させ、遠心力でゴミを分離して、空気だけを排気する。この原理なら、サイクロン式の場合、ゴミを分離するサイクロンボックスにはフィルターがいらず、事実、ダイソン社製の製品にフィルターはない。
しかし、ダイソン社製以外でサイクロン式掃除機と名づけられている各社の掃除機は、遠心力だけでは分離しきれない微細なゴミを、最終的にフィルターでキャッチしている。そのため、長期間使うとフィルターが目づまりし、吸引力が落ちてしまう。
「TC-ZXA20P」のサイクロンボックスは二つの旋回部と三つのゴミが溜まるダストカップがあり、綿ゴミなどの「大ゴミ」、砂などの「中ゴミ」、花粉などの「小ゴミ」に分離する。風の入り口では、マイナスイオンで微細なゴミの粒子を大きくまとめて、サイクロンボックスのなかでゴミを遠心分離しやすくしている。
実際に掃除をすると、本当に大きさと重さによってゴミを分離しているのがわかる。また、風が旋回する部分とゴミをためる部分を分けることで排気にゴミの臭いが移りにくい。排気は本体の横、少し高い位置から出て、0.3μm以上の微細なハウスダストも約99.99%以上キャッチする。